地球最後の男 (1977年) (ハヤカワ文庫―NV)

先日，DVDの「アイアムレジェンド」を見ました。某レンタルビデオ店のレビューでは，酷評されていたこの映画。私的には，おもしろかったので，星の数が少ないことにちょっと違和感を覚えておりました。その後，実家の本棚を整理することになって，この本を発見！懐かしいなあ，と手にとり，原題を見てびっくり。これこそ「アイアムレジェンド」じゃあないですか。皆さんが絶賛していた原作を，私は読んでいたのか〜。忘れっぽい私は，もちろん内容をすっかり記憶の海に沈めきっておりましたが，感動した作品だったことははっきり覚えていましたとも！でも，あんな内容だったかなあ？と読み返してみることにしました。読み始めてまたびっくり。こんなに苦悩に満ちた作品だったのか。そう言えば，この７０年代後半に私が好んで読んでいた作品は，ジョン・ウインダムやオーソン・スコット・カードの作品，クトゥルー神話など，衝撃的なラストだったり，苦難に満ちたストーリーだったり，暗いのが多かったなあ。そう言う時代だったのかも。でも，今読んでも，この作品は，すばらしい。（先日大量に捨てざるを得なかった昔の本達も，もういちど手元に戻したい気持ちになって困った。）ただ，本当に古いので，車を整備するくだりでは，「それから，オイル，水，電池の水，タイヤを調べた。」とあったりします。「電池？」…バッテリー！その頃だってバッテリーって言ってたと思うんだけど…。でも，スーパーにカートは確かになかった。だから「荷運び用の手押し車」とかいう表現になってたり（笑）そもそも，危機に陥った原因が，時計を巻くのを忘れていたから。（「腕に」ではありません。）いや，でも，もちろんこれは本筋とは関係ないですね。とにかく，古いのに，この力は何なんだろう。気持ちをぎゅっと絞め付けるこれは。懐かしさだけではなく。人間の悲しさに久々に触れた思いがします。ああ，ラストについて書きたい。映画のラストは，薄っぺらだったなあ，と思わせるあのラスト…。でも，映画は全く別物。題名だけ同じ，違う原作なんじゃない？とまで思ったんだけど…，こんな私は，新訳も読んでみた方がいいでしょうか。