京都ものがたりの道

『赤と青のガウン』を入手した関連でこちらも入手。『赤と青の～』は留学体験記でしたが、こちらは現在仕事の関係で在住されている京都の｢道｣をテーマにしたエッセイ集です。ａｍａｚｏｎの説明にも書いてありますが、2014年～2016年に毎日新聞に連載されたコラムを再編した物です。取り上げられた道は26本+1本。かなり有名な道から、地元民も行った人は少ないと思われるマイナー通りまで。最後の｢＋1本｣というのは、留学先のオックスフォード大学近くの道になります。内容は、各通りの歴史や史跡を紹介する…と言うよりはその通りで彬子様が遭遇した事件？とか、感じたことをつらつらと書かれた、実に随筆な内容です。なので、アマゾンの紹介ではいかにもこの本が観光ガイドによいようなことが書いてあるのですが、ガイド本と思って入手すると違和感があるかも知れないです。ただ、美術史家としての視点から見た京都の｢道｣に関する話は、地元民でもはっとさせられる話が多く、興味深い内容です。個人的には護衛官（この本では「側衛」と書かれている）の話が多く出てくるのに目が止まりました。『赤と青の～』でも側衛とのエピソードはそこそこ登場するのですが、この本ではかなりの割合で側衛に関する話が登場します。これは皇族という特殊な立場故だと思うのですが、側衛と彬子様の関わり方など、一般人には興味深いなかなか不思議な関係だな-と感じました。また、東京より京都の方が性格に合ってるというような発言も登場し、ちょっとビックリしました。最後の章では先述通りイギリスのマートン・ストリートを取り上げているのですが、そこで「オックスフォードは京都に似てる」というような話も登場し、｢京都とパリは似てる｣説はよくお見かけするのですが、この説は新説かも、と思ったり。『赤と青の～』でもおなじみの方の凝らない文章でさくっと読める一冊です。京都に興味のある人も、彬子様に興味のある方にもお奨め。