湖畔の休日 (ハーレクイン・ロマンス (R1479))

べティのヒーローは、ポーカーフェイスでヒロインは相手の気持ちがわからず一喜一憂する、というパターンが多いのですが、この作品は徐々に惹かれ会う二人の心の変化が書き込まれているので、読者は安心して見守ることができます。とはいえ、当人同士はわかっていないのですが...。スコットランドの風景、イングランドの田舎暮らしの豊かさが描かれていて、べティご本人もそうした生活を送っていたんじゃないかと想像してしまいました。ヒロインのおせっかいぶりは、それほど強引ではないにしろ、まさに余計なお世話なのですが、ジェーン・オースティンの『エマ』を彷彿とさせました。強烈なエピソードやドラマチックな展開はありませんが、落ち着いた大人同士、日々の穏やかな時間のなかで、こんな風にゆっくり育っていく恋っていいなあ、と思いました。