シニアのための国際協力入門

本当に自分がやりたいことはなんだろう、と思いながらこの本を手にした。私はまだ40代初めのサラリーマンだが、JICA（独立行政法人国際協力機構）が推進している「シニア海外ボランティア」の対象者は40歳以上69歳以下である。JICAといえば「海外青年協力隊」が有名だが、こちらは40歳未満が対象である。因みにJICAの理事長は現在あの緒方貞子さん。本書の第1部と第2部は正直に言って少々退屈した。国際協力の実際や理論を説明した箇所だが、ここはお勉強の部分で、私がいま知りたかったのは国際協力を行っている人の実体験、経験談である。本書の第3部がそれに当たる。ラオス、中国、ネパール等々での美容師や日本語教師の方の活躍ぶりが目を引く。これらの国の生活がけして楽なものでないことは、私の途上国への出張経験からも容易に想像が付く。しかし、その土地の人々の中で信頼され頼りにされる喜びは、今の日本ではなかなか得がたいものだろう。生活が豊かになった分、信頼し信頼される喜びが得られにくくなった日本の現状を皮肉に思う。人間の幸福感ってこういうところにあるんだなあ。